理事長所信
公益社団法人三浦青年会議所 2023年度理事長所信
第62代理事長 宮坂 和彦
「かけあがれ!より善い未来へ」
~つかみ取り、見極め、築きあげよう~
【はじめに】
2011年、東日本大震災が発生し、復興支援で私は被災地に足を運びました。地域で生きる人の逞しさを目の当たりにしたことで、それまで都市で生活していた私は、自分を見つめ直しました。地に足をつけて、自分たちの心からやりたいことに取り組む人たちに惹かれ、「自分も地域に根ざして生活していきたい」と私の考えが変わりました。その状況の中、2012年に家業の都合で三浦に移住することになりました。「引っ越してきたやつが面白いことやってんな」と外から来た人を拒絶もせず、なびかない、港町特有の三浦の風土が私には新鮮に映りました。その一方、三浦市は少子高齢化問題、担い手不足や財政問題等、非常に課題の多い地域であることも感じました。
移住したその年に、縁あって三浦青年会議所の例会に私は参加し、自分たちのまちを自分たちでより善くしていくんだという強烈な郷土愛で行動を起こすエネルギーに圧倒され、同世代の若者のイキイキとした姿に感銘を受け入会しました。その後、諸先輩と一緒に様々な事業に取り組む中で、出来ない理由にぶつかっても折れない信念で切り拓き、可能にしていく姿勢を学ばせて頂きました。その精神は今でも自分の中に刻み込まれています。
2020年、新型コロナウイルス感染症のパンデミックとなり、人と人とが集うことで力を発揮していた青年会議所活動も見直しを余儀なくされ、その一つひとつの意味や意義が問い直されました。新しい生活様式が発表されたばかりの5月から急遽方針転換し、副理事長として担当した9月のドライブインシアター事業では開催も危ぶまれた状況でしたが、腹を括り、何が何でも絶対にやるんだという気持ちで委員長と共に挑戦し、多くの支援を頂き開催することが出来ました。この経験から、0から1をつくり上げる大変さと楽しさを学び、コロナ禍であっても、地域を変えてきたのはいつの時代も若者だということを再認識することが出来ました。
入会し10年が経った今、この組織を次の世代にもより善い形で紡いでいきたいという気持ちが私の中に大きくあります。三浦青年会議所メンバーという、自分たちのまちの為に同じ時間と苦労をわかちあえる仲間と、持続可能な組織づくりという次のステージへとかけあがる年にいたします。
【まちづくり】
日本全体が人口減少し地域間競争が激化する中で、三浦のファンを増やし、市民や移住者、関係人口に対しても、より魅力的な地域となることが必要です。三浦は狭い半島の中に、魅力的な自然や文化・伝統が詰まっており、昔ながらの繋がりが色濃く残る地域だと私は考えます。それぞれの地域の特徴と歴史を知り、様々な分野の専門家と繋がり、既にある地域資源により善い要素をかけあわせ、新しい価値を生み出すことで、活気あるまちを作れるのではないでしょうか。市民とともに三浦の魅力を見つめ直す機会を設けることで、まちを盛り上げる仕組みを作ります。
2023年は市議会議員選挙・県議会議員選挙が行われる年です。候補者がどんな政策を掲げているのか知る機会を設けることで、投票をする際の判断材料を増やし、このまちの政策の中身について認識を深める人材を増やします。
【子ども達に三浦を五感で感じてもらう】
まちの未来を変えていく根幹は、教育です。しかし机の上での学習だけでは得られないことがあります。コロナ禍において五感を刺激する遊びや身近な大人との関わり、本気になって仲間と一緒に取り組むことなどの経験が出来る機会が少なくなりました。
子ども達にはずっと笑顔で元気に育ってもらいたいというのは万国共通した願いですが、三浦だから得られる体験を行いそれが子ども達の思い出に残ることで、将来住みたいまちという印象を持ってもらえるのではないでしょうか。若年層の流出は三浦の課題の一つですが、若者が大人になり都会へ出て行くことだけが問題なのではなく、本質的には、我々はいずれ戻って来れるような魅力ある地域にする取り組みをすることが求められています。そのきっかけの一つとして、文化や風土を体感し子ども達のまだ知らない三浦の魅力を見つけてもらうこと、コロナ禍だからこそリアルな三浦を体感出来る取り組みを行い、親子にも開かれた学びとなる機会を作ります。
また、三浦市は県内でも数少ない相撲文化が根付いている地域です。三浦市教育委員会と三浦市相撲連盟と積極的に関わり、コロナ禍で数年開催出来ていない「わんぱく相撲三浦場所」大会の開催の調整に全力を尽くします。
【組織をアップデート】
2023年の三浦青年会議所メンバーの平均年齢は約32歳と若くなり、中心世代が大きく変わる転換期を迎えます。経験も浅いメンバーも増え青年会議所の仕組みについて深く理解できていないメンバーも増えています。だからこそ、基盤となる組織運営をきちんと行うことが重要です。しかしながら従来の方法でただ運営するだけでなく、その作業に意味があるのか、手段が目的化していないか、最適化出来る方法はないのかを、きちんと検討すること。そして、時流に合ったやり方・仕組み・効率を見直し、紡ぐべきものと変えるべきことを見極め、挑戦し実践することで持続可能な組織となります。
三浦青年会議所の継続事業の一つでもある献血事業は、コロナ禍でも求められる取り組みです。血液の確保という社会貢献運動を本年も開催いたします。
【チームづくり】
拡大研修交流委員会では、青年会議所運動を行う仲間を増やす「拡大」、様々な学びを得る機会を作る「研修」、共に一つのものを作り上げる楽しさやチームでの達成感を通じての「交流」の3つに取り組みます。特に、仲間を増やす為には、誠意と情熱が必要です。しかしただ誘うだけでなく、メンバー自身や活動内容が魅力的であることこそ重要です。メンバーが増える程大きな運動が出来るのは勿論、青年会議所という組織に誘い入会した人とは、このまちでこれからも一生の付き合いになる仲間となります。そして入会後も、メンバー同士が高い志で切磋琢磨しあい大きな夢を共有し、時には一緒に動き時にはお互いを知ることで、より善いモチベーションをお互いに与え合うことが出来るのです。
また、神奈川ブロック協議会への出向は「人との出会いが人生を豊かにする」を体現した機会です。この機会をつかむことで、学びを持ち帰り、自己の成長と地域への還元となります。
【最後に】
持続可能性とは、無理なく続けていける再現性のある仕組みを作っていくことです。その仕組みは、今のメンバーで決めていくものです。役職が1年毎に変わり、40歳で卒業し新陳代謝していくという仕組みが青年会議所にはあります。自分たちのまちに自分たちの時間とお金を使い、より善くなろうと本気で行動する若者が集まることで、地域に前向きな変化をもたらすことができるのです。時代が変わっても、このまちの魅力を観察・活用し、その時代に求められている運動を起こし、明るい豊かな社会の実現を目指すことは変わりません。その為の活動は、ただ楽しいだけでは意味のないものになりますが、楽しむ心がなければ続きません。手を抜いてやればつまらないもので終わるし、本気でやれば熱意が伝わります。
夢を諦め妥協するのではなく「たとえ困難な現状でも様々なことをかけあわせ、苦境を打ち破ろうと四苦八苦した先に、より上へ登っていくことが出来る」という想いを込めて、本年のスローガンを「かけあがれ!より善い未来へ」とさせて頂きました。また、積極的に現状を把握し解決策を絞り込み組み立てていこうということで「つかみ取り、見極め、築きあげよう」を副題とさせて頂きました。
青年会議所には修練、友情、奉仕の三信条があります。個々が善くなることで、仲間とより善いチームをつくり、まちに善い変化を起こせるのです。自分自身から仲間へ、そして関係団体や社会へと繋がりの輪を広げていきましょう。
私自身も地域に根ざした商売をさせて頂きながら、三浦で子どもを育てています。この三浦を、よりやりたいことにチャレンジ出来る、イキイキワクワクとした地域として築きあげ次世代へ紡いでいきたい。三浦青年会議所をより善い未来へ紡ぐことがその実現につながると固く信じ、公益社団法人三浦青年会議所 第62代理事長を務めさせて頂きます。